フリーランスの場合、発注者との間で交渉力や情報収集力の点で格差が生じ、弱い立場になりがちです。あなたのように、「雇用関係だったら問題にしてもらえそうだけれど、自分のようなフリーランスは守ってもらえないと聞くから…」と思い悩んでいる例は多いのではないでしょうか。
この点、フリーランスが安心して働ける環境を整備するため、発注者が守るべき義務と禁止行為を定めたフリーランス・事業者間取引適正化等法(正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」)が令和6年11月に施行されました。
担当者から怒鳴られているとのことですが、発注者(特定業務委託事業者)は、ハラスメントによりフリーランス(特定受託業務従事者)の就業環境を害することのないよう、相談対応のための体制整備その他の必要な措置を講じなければなりません。まずは、取引先の相談窓口にハラスメント被害を相談してみてはいかがでしょうか。取引先において、事実関係の確認をはじめとした対応をしてもらえる可能性があります。
また、発注者が、ハラスメント相談窓口を設置していないなどこの義務に違反していると思われる場合、厚生労働省(都道府県労働局)に申し出ることができますのでご相談ください。(問い合わせ先は「都道府県労働局雇用環境・均等部(室)」)。
また、繰り返し報酬の減額も迫られているとのことですが、この法律では、フリーランスに責任がないのに、報酬を減額することも禁止されています。これについては、公正取引委員会または中小企業庁に申し出ることができます(問い合わせ先は「公正取引委員会」または「中小企業庁」)。
これらへの申出はオンラインからもできますので(「フリーランス・事業者間取引適正化等法の被疑事実についての申出窓口」)、一度ご検討いただいても良いかもしれません。
フリーランスで働いているものの、仕事の先の見通しが立たず、再就職も検討していらっしゃるのですね。どうやって生きていくかは、人それぞれのお考えがあるかと思いますが、あなたはどんな風に生きていきたいですか。そのために、何を大事にしますか。
また、フリーランスでもご活躍されてきたとのことですが、これまでどのようなお仕事や経験をされてきたでしょうか。あなた自身が歩んできた人生に決して無駄なものはありません。あなたの生き方自体があなたの強みになるはずですので、ぜひ振り返って、あなた自身のスキルや能力を棚卸してみてはいかがでしょうか。
そのうえで、つらい時には、一人で悩むのではなく、身近な家族や友人に話を聞いてもらうとよいかもしれません。身近な方が難しければ、「こころの耳」でも相談先を紹介していますので(「相談窓口案内」)、利用してみても良いかもしれません。
契約の解除を申し入れることができず、悩んでいらっしゃるようですね。
厚生労働省では、公正取引委員会・中小企業庁と連携し、フリーランスの方からの発注者との取引上のトラブルについて弁護士にワンストップで相談できる窓口「フリーランス・トラブル110番」を設けており、そちらに相談することもできます。検討してみてはいかがでしょうか。
経営が軌道に乗るまでは、体力的にも経済的にも負担や不安は尽きないと思います。また労働者と経営者では根本的に立場が違うため、経営の楽しさや厳しさを同僚達に理解してもらうのは難しいでしょう。どんなにタフでやる気にあふれた経営者でもスーパーマンではありませんので、時には自信を失ったり落ち込んでしまったりすることもあると思います。SNSや異業種交流会などを通して、同程度の経験年数をもつ経営者仲間を見つけて、苦労を分かち合う機会をつくってみてはいかがでしょうか。
うつ病の原因は、医学的にも解明されていないことも多いのが現状です。また、うつ病の種類も、専門的に様々な考え方があります。ただ、働く人々のうつ病の発症の仕方(原因というより要因・誘因)は、3つほどに分類が可能と思います。
まずは「環境要因」です。例えば、非常に重たい責務を任されている、長時間の残業が続いている、ということから脳や身体の疲労が蓄積して、うつ病に至ってしまうものです。この場合は、治療の過程で環境の調整がとても重要になります。
次に「性格的な要因」です。専門的には心因性などと呼ばれています。気になることや心配なことを細かく考えすぎるなど、その人の思考パターンが脳の疲労に強く関係している場合です。治療では、精神療法やカウンセリングなどが重要になってきます。
そして「医学的な要因」。専門的には内因性と呼ばれています。体質と言ってもいいかもしれません。はっきりした強い要因がなくてもうつ病を発症してしまうことがあります。精神科以外の疾患でも、食生活や運動習慣に問題がなくても、高脂血症になってしまう、発がんしてしまう、という人がいるのと似たものです。治療薬により効果が出やすいとも言われています。
うつ病の発症の仕方の分類は、きれいに境目があるのではなく、様々な要因が絡み合っていることがほとんどですので、治療を受ける際は専門家によく相談してください。
そして、とても大切なのは、原因や要因の排除ばかりに注力するのではなく、どのような治療や対処が有効かを、専門家や職場に相談しながら進めていくことだと思います。
精神科に初めて受診するとき、費用がどれくらいかかるのか見当がつかなくて不安だと思いますが、精神科も内科などと同じように健康保険証が使える保険診療(3割負担)です。
まずは、おかかりになろうと考えている医療機関に、どのくらい費用がかかるのか尋ねてみるのがいいと思います。
一般的には、初診時は、時間をかけての診察があり、心理検査などが加わる場合もあるため、少し高めになりますが、精神科の窓口でのお支払いは3000円程度と考えておくと良いと思います。それに加えて、薬が処方された場合は薬局にて別途3割負担で費用がかかります。薬の内容によって変動しますが、初診時は合計で5000円くらいと考えておくとよいかと思います。2回目以降は、精神科の窓口で約1500円程度、その他に薬局でお薬代が加わります。
継続的な通院が必要という場合には、公費負担の制度(自立支援医療)も利用が可能です。通院費やお薬を含めて1割負担、つまり通常の1/3となります。利用に当たっては所定の手続きが必要です。
費用を高く感じるかどうかは人それぞれだと思いますが、身体疾患と同様、早期対処により病状の長期化を防ぎ、社会生活を送りやすくなることにつながります。
精神的なエネルギーが消耗し枯渇すると、いわゆる心の病になります。このエネルギー消耗の過程で、最初にできなくなることは苦手なことからと言われています。エネルギー消耗が進むと自分の好きなことや得意なこともできなくなり、病気の悪化と言えます。仕事以外では元気でも、病気が悪化する過程にいる、またはその逆で回復の過程にいるのかもしれません。
特に仕事の環境に変化があった、または大きなストレス要因がある場合などには、職場とそれ以外での元気度の差は顕著かもしれません。仕事以外は元気だから大丈夫、ということではなく、放っておくとエネルギーが枯渇し、悪化する可能性もありますので、今こそ早めの対応が必要なタイミングかも知れません。
うつ病には本人の性格以外にも多くの病因があり、さらに必ずしも病因が明確でない人も多い疾患です。したがって、生真面目でもなく、几帳面でない人でもうつ病になることはあります。
「うつ病は甘えた病である」、「頼る人がいるからうつ病になれる」、「うつ病になるのは、精神的に弱いから」、「心の弱い奴がうつになる」、「病は気から。強い精神力があれば大丈夫」など、今でもうつ病を性格、根性などに関連させる偏見や誤解があります。しかし、うつ病はセロトニンなど脳の神経伝達物質の異常が関連する身体の病気です。「うつは本当には治らない」、「うつは再発しやすいものだ」という人もいますが、効果の証明された薬があり、休養、精神療法・カウンセリングにより改善し再発防止も可能です。他の病気と同様にうつ病を正しく理解し、早期発見・早期治療に結びつけることが重要です。
うつ病の治療というと「カウンセラーに話を聴いてもらうのがよいのではないか」と思う方もおられるかもしれませんが、薬物療法が治療の基本になります。ただ最近は、自然治癒力を重視したり、カウンセリングや漢方薬等による治療を上手に利用する専門医も増える傾向にありますし、逆に病気の程度や状態によっては長時間話すことが負担になることもありますので、カウンセリングの必要性や希望について主治医に相談してみると良いでしょう。
うつ病は治ることが多いのですが、再発しやすいことも知られています。初めてうつ病にかかって再発を経験する人が6割、一度再発した人のうち二度目の再発をする人が7割、二度再発した人のうち三度目の再発をする人が9割といわれています。しかしながら、日常の思考・行動パターンの見直し(認知行動療法など)や内服により再発防止が出来ることもよく知られています。
精神科の最初の診察は、内科などと違って心電図、CTなどの検査はほとんど行われず、その代わりにこれまでの経過を詳しく聞きます。「いつから、どんなきっかけで、このような”うつ”になったのか」といったことです。精神科医が聞く場合もありますが、臨床心理士や精神保健福祉士などがお聞きする場合もあります。精神科医は診察を通して助言をし、必要な場合は抗うつ剤や睡眠導入剤などを処方します。診察と投薬だけでは不十分な場合には、併行して、カウンセリングやデイケア・ショートケアなどの特別なプログラムを行う場合があります。家族関係の調整が必要な場合にはケースワーカーが相談を受けることもあります。カウンセリングなどのプログラムは、スタッフの数が少ない精神科診療所では行いにくいことから、心理カウンセリング機関と連携して行っている場合もあります。
心の病を専門とする医師は、精神科医と心療内科医です。心の病を専門とする医療機関の正式な標榜科目名は、心療内科、神経科、精神科ですが、最近ではメンタルヘルス科やストレス外来などという看板を掲げている医療機関もあります。間違いやすい標榜科として神経内科がありますが、神経内科は脳、末梢神経、筋肉などを扱う内科の一分野です。受診する前にホームページ等で診療内容を確認ともに、事前に電話等で連絡をいれておくとよいでしょう。
不眠症にはさまざまな原因があり、原因によって受診すべき科が異なります。もし、ほかに通院中の病気があり、お薬を服用している場合には、睡眠を障害する薬もありますので、一度かかりつけの医師に相談されるとよいでしょう。
最近では、睡眠に関する専門外来を開いている病院もあります。原因がよくわからず睡眠がとれずに悩んでいる場合には、このような睡眠に関する総合外来を受診されてもよいでしょう。
なお、夜中に何度も目が覚めたり、家族からいびきや無呼吸を指摘されたことがある場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があるため、「終夜睡眠ポリグラフ検査」という検査ができる医療機関に受診されるとよいでしょう。
就寝時や夜中に目が覚めた時に足のふくらはぎや足の裏あたりが「むずむず」したような異常感覚があって眠れない場合は、「むずむず脚症候群」という病気の可能性があります。また、睡眠中に足がビクビクと動いて眠りが妨げるような場合は「周期性四肢運動障害」という病気の可能性があります。このような場合も、終夜睡眠ポリグラフ検査ができる医療機関に受診されるとよいでしょう。
最近気分が落ち込んだり、いままで楽しかったことが楽しめなくなってきている場合は、うつ病に伴う不眠症かもしれません。また、原発性不眠といって、原因が特定できない不眠症もありますので、このような場合には一度精神科に受診をされるとよいでしょう。
まず、うつ病の症状がよくなっていることに加え、日常生活が問題なく送れるようになることが重要です。朝起きて、食事をとり、身支度を整え、外出したり、身の回りのことをしたりして、夜はきちんと睡眠をとれるなど生活が回るだけでなく、本来の興味や関心も回復している状態です。
そのうえで、勤務時間に仕事に準じた活動(事務職であればPC作業や読書など、体を使う仕事であれば散歩や筋トレなど)ができること、他人とのコミュニケーションを問題なくとれることが必要です。
また、うつ病は再発のすることが多い病気ですので、継続的に仕事を続けていくためには、再発した際に早期に気づき対応し、その影響を最小限に留められるような準備もしておくとよいでしょう。具体的には、病気になった原因や背景を振り返り、どんな時に、どんな変化が自身の心や体に現れるのか、そうなった場合にどんな対処が必要なのかを考え、身につけておくことです。一人で難しい場合は、主治医に相談したり、カウンセリングをうけるほか、リワークプログラムといって職場復帰のためのプログラムを用意している医療機関等があるので利用するのもよいでしょう。
この病気を持ちながらたくさんの方が就業しておられます。統合失調症だから就業できないということはありません。他の疾患と同様に、主治医や会社などと連携し、必要に応じて配慮等をしてもらうこともできます。
長く掛かっている主治医なら、一言ことばを交わすだけで、表情や態度などから、調子の善し悪しが分かる場合もあります。しかし、患者としては主治医のペースに従う必要はありません。困っていることや気になっていることなど、主治医に相談したいことがあれば遠慮せず伝えてみましょう。事前に、相談したいことを紙に書き出しておくのもよいかもしれません。
精神科で薬を処方するのは、その病気の治療に必要と判断されたためでもあります。一方で、薬を使用せずに治療できる場合は、薬は処方されません。
一般的に、精神疾患の治療は長期間にわたることが多いため、薬の内服期間も長くなることがありますが、適切な治療であれば意味なく薬物治療が続くことはありません。いつまで服用するものなのか、減らすことが出来ないか、副作用について、など疑問があれば遠慮なく尋ねてみましょう。
まず、精神科疾患の多くは客観的な評価が難しいものが多く、患者さんの訴えに基づいて治療を行いますので、ご自身の状態を適切に主治医に伝えていただくことが重要です。
ご自身の状態を改めて主治医に伝えてみたり、自分でうまく説明が出来ないときには家族等ご自身の状態をよく知っている人に同席してもらって相談してみるとよいでしょう。特に「どのような症状によって生活しにくいのか」ということが主治医に伝わることが大切です。
なお、精神科で処方される薬は、急にやめることで症状が悪化する場合もありますので、自己判断で中断することは避けましょう。
セカンドオピニオンを希望されますと主治医としては淋しく思いますが、本人の病気をよくすることが優先です。一般の主治医なら承諾してくれると思います。セカンドオピニオンを引き受けてくださる医療機関では、別の視点からの意見を出されます。この意見をそれまでの主治医に伝えて、その後の治療を続けることも可能です。また心機一転して別な医療機関での治療を受けることも可能でしょう。本人の病状をよくすることが第一です。一方で、ドクターハンティングなどと言われますが、本人が良い治療をされていないと感じて、医師を次々と変えていくことも見られます。その結果、計画的・継続的な治療が尻切れトンボになり、病状がよくなり難いこともあります。精神疾患では、せめて3~6か月程度は同じ医師の治療を継続されるほうが良いでしょう。セカンドオピニオンや転院にはご自分の考えだけでなく、ご家族や担当医の意見も参考にしましょう。
カウンセリングは、日常の人間関係のしがらみから離れた、いわば非日常的な人間関係の場であり、その中で、安心して率直に気持ちや考えを表現することを通じて、問題解決や症状の緩和をはかります。カウンセリングにはさまざまな理論や手法がありますが、基本的には、カウンセラーは一方的に答えやアドバイスを与えるのではなく、あなたの話をよく聴き、充分に理解し、気持ちに細やかな配慮をしながら、あなた自身がよりよい人生の選択ができるように、問題の整理や気持ちの整理を心理的に支援します。あなたの年齢、性別、症状や過去・現在の状況および目指すゴール/目標と、それらに対するカウンセラーの専門的な見立てによって、選択される手法や期間は異なります。言葉でのやり取りを中心とする場合もあれば、粘土や切り絵、箱庭や植物などの媒体を使う場合、具体的な行動目標を立てて訓練をしていく場合などさまざまです。
カウンセリングでは、あなたの人生の重要な問題を扱うのですから、焦らずに時間をかける必要はあります。しかし、そのプロセスを支えるのはあなたとカウンセラーとの信頼関係ですので、カウンセリングの進め方そのものについて納得しておくことは、とても重要なことです。
今受けているカウンセリングに疑問があるのであれば、そのことも率直にカウンセラーに伝え、どのような解決を目指していくのか、目標や方針を見直していくことをお勧めします。方針や目標について納得のいく話し合いをすることも、カウンセリングの効果を高めることに役立つと考えます。
心の病気に限らず、心身の病気はストレスで生じるものが少なくありません。特に心の病の発症にはストレスの関与が大きいと考えられます。同じような場面でも、人によって感じるストレスの大きさは異なり、心の病になりやすい人となりにくい人がいます。
気分や体調の変調に気づかれた際には、通常、まず、かかりつけ医の受診をお勧めします。しかしながら、ご質問では、「消えてしまいたい気分(希死念慮)」が認められることから、心療内科や精神科への受診が適当かもしれません。憂うつな気分が続く、とか、今まで楽しめていたことが楽しめない、といった症状などがあればうつ病の可能性もあります。
日本人の死因の約1/3を占める脳血管疾患(脳出血、くも膜下出血、脳梗塞等)や虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症等)は、血管病変の形成、進行及び悪化により発症します。
働き過ぎが長期に及ぶことにより、休息や睡眠の不足から疲労が蓄積し、血管病変をその自然経過を超えて著しく増悪させ、脳血管疾患や虚血性心疾患が発症することが知られています。これらの疾患の労災認定基準では、時間外労働(休日労働を含みます。)について、1か月当たりおおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まり、発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月ないし6か月にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いとされています。
また、長時間労働により疲労やストレスが蓄積すると、仕事などに対するモチベーションの低下やメンタルヘルス不調に陥ることが社会的注目を浴びています。